月経困難症の治療
- 2024年3月4日
- 診療情報
鎮痛薬(非ステロイド系消炎鎮痛薬)
月経痛の原因物質に有効なロキソプロフェン、イブプロフェンなどが用いられます。痛みが強くなる前に服用することが大切です。月経痛が強い方は月経痛開始直後または直前から内服を開始し、6-8時間毎に2-3日内服を継続するといいでしょう。
低用量ピル(LEP)
月経困難症の治療に用いられる低用量ピルをLEPと呼びますが、LEPにもいろいろな種類があり、また内服方法も連続投与法や周期投与法があります。ただ、ピルにはエストロゲンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含有されていますが、このエストロゲンには少なからず血栓症の発生を上昇させるリスクがあります。したがって40代以上の方、血栓症の既往のある方や、片頭痛がある方、喫煙者などでは低用量ピルを内服できない場合があります。しかし一方で、低用量ピルには避妊効果やニキビの改善、子宮内膜癌・卵巣癌・大腸癌の減少などの効果もありますし、何より月経困難症の治療として有用な選択肢でもあります。また、ジエノゲストというエストロゲンを含有していない黄体ホルモンのみの製剤もあり、思春期の患者様やLEPを内服できない方でも比較的安全に使用することができるお薬もあります。
漢方薬、その他
芍薬甘草湯には強い子宮収縮に対する抑制効果があり、速効性があるといわれる漢方薬です。そのほか、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰建中湯などがあります。芍薬甘草湯以外にも子宮収縮を抑制する鎮痙剤もあります。非ステロイド系鎮痛剤が内服できない方などに使われることもあります。
LNG-IUS(ミレーナ)
LEP などの経口薬の内服ができない方や血栓症リスクがある方などでは,LNG-IUS が有用です。具体的にはミレーナという装置で、月経困難症、過多月経に対して保険適用となっています。思春期の方や子宮口がまだ開いていない未産婦の方への挿入は難しいことが多いですが、出産経験のある方では比較的スムーズに挿入が可能で、月経量を減少させる効果もあるため過多月経がある方にも有用な方法です。5年間装着でき、避妊効果もあります。
手術
器質性月経困難症の方では、手術による治療を行うことがあります。子宮内膜症による卵巣チョコレートのう胞や子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因で月経困難症の症状がひどい場合には、手術により病変を取り除くという選択肢もあります。病気の程度や妊娠の希望などにより患者さん毎に手術方法などが異なります。