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ピル処方(低用量ピル、緊急避妊ピル、月経移動)

ピル処方(低用量ピル、緊急避妊ピル、月経移動)|渋谷・神泉|目黒区の産婦人科|IRISレディースクリニック神泉

ピルとは

ピルとは

ピルとは黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)という2種類の女性ホルモンが含有されているお薬のことで、含有されるエストロゲンの量によって、低用量ピル、中用量ピルの様に分類されます。また、使用する目的によって、OCやLEPなどとも呼ばれます。「OC」とは避妊を目的としたピルのことで自費診療での処方となります。一方「LEP」は月経困難症などの治療薬ですので、保険診療での処方となります。
OC…避妊目的、自費診療
LEP…月経困難症などの治療、保険診療

ピルに向いているのはこんな方

  • 生理痛(腹痛・腰痛・頭痛)がつらい、生理痛が年々ひどくなる
    こんな症状がある方は「月経困難症」、「子宮内膜症」の可能性があります
  • 生理痛がつらく勉強やクラブ活動などの学校生活に支障がでる、中学や高校から生理痛がひどくなった
    こんな症状の方は「機能性月経困難症」の可能性があります
  • 生理の量が多い、血の塊が出る、貧血と言われている
    こんな症状の方は「過多月経」の可能性があります
  • 月経前のイライラ、憂鬱、落ち込み、月経前の体調不良(頭痛、胸の張り、吐き気、むくみなど)
    こんな症状がある場合は「月経前症候群」の可能性があります
  • 避妊したい
    避妊用のピル「OC」があります
  • 避妊に失敗してしまった
    「緊急避妊」ピルがあります
  • 旅行や試験があるので生理をずらしたい
    「月経移動」という方法があります

ピルの使い方の違い(OCとLEPの違い)

ピルには排卵を抑制したり、子宮内膜を薄く保つ作用があるので、避妊や月経に伴うつらい症状を改善させる効果があります。

避妊目的でピルを使う場合はOCと呼ばれます。OCは正しく服用すれば、最も優れた避妊法の一つであり、安全性も高いといわれています。ただし避妊が目的の場合には、保険は適応されませんので自費での処方になり、1ヶ月分で約3000円前後かかります。

また一方でピルは、月経困難症や子宮内膜症、PMS、過多月経に対する治療薬としても使用されています。その場合はLEPと呼ばれ、保険適応で処方を受けることができます。LEPの内服方法には、1ヶ月ごとに内服する「周期投与」という方法と、数ヶ月間連続でピルを内服する「連続投与」という方法があります。内服方法はそれぞれにメリット・デメリットがありますが、月経困難症の症状の程度やライフスタイルに合わせて内服方法を選択するのがよいでしょう。治療費は周期投与のピルでは後発薬の場合は1ヶ月分で約1000円前後、連続投与のピルは1ヶ月2000~3000円弱です。

ピルのメリット

ピルのメリット

ピルには生理にともなって生じる様々な症状を改善させたり、避妊や自分のライフスタイルにあわせて生理をコントロールできるなどのメリットがあります。

ピルのメリット

OCとしてのメリット

  • 避妊効果
  • ライフスタイルに合わせて生理をずらせる(月経移動)

LEPとしてのメリット

  • 月経痛の改善
  • 子宮内膜症病変の縮小・改善
  • 月経時の出血量の減少、月経期間の短縮
  • 月経不順の改善
  • 月経前のイライラ、気分の落ち込みなどの改善
  • ニキビの改善
  • 卵巣がん、子宮体がん、大腸がんの発生リスクの減少

ピルのデメリット・合併症

ピルには先にも述べたように、多くのメリットがありますが、一方でデメリットや注意しておくべき合併症もあります。

  • 連日の服用が必要
  • 吐き気
  • 頭痛
  • むくみ
  • 乳房痛
  • 不正性器出血
  • 血栓症のリスク
  • 乳がん、子宮頸がん発症との関連性
  • 性病の予防効果はない

ピルの内服開始時に、吐き気や頭痛、むくみや乳房の張りなどの症状をみとめることがあります。これらは通常数日から1週間程度で軽快します。また、連続内服のピルでは、特に内服開始後3~6ヶ月の間は不正出血が見られることがあります。少量の出血がだらだらと続いたり、1ヶ月のうちに2回生理が来てしまったり、といったことが起こることがあります。多くのケースでは内服を続けるうちに出血期間は減少し、次第に出血の量自体も少なくなってきます。

また、最初の周期ではなかなかピルの効果を実感できないこともあります。2~3周期くらい続けていくうちに、ピルを飲む前より調子がいいなど感じるようになります。それでもまだ症状が続く場合や、お薬自体が合わないと感じる場合は、ピルの種類を変えてみるという方法もありますので、お気軽にご相談ください。

ピルの重篤な合併症として静脈血栓塞栓症があります。ピル内服中に激しい腹痛、胸の痛みや息苦しさを感じたり、下肢の疼痛や腫れを認めた時はすぐに内服を中止し、当院または救急医療機関を受診してください。特に服用開始後3か月程度は注意が必要です。また、性感染症の予防効果はないため、感染対策としてはコンドームの使用が必要になります。ピルの長期服用と、乳がんや子宮頸がんのリスクと関連が指摘されていることから、乳がんや子宮頸がんの検診は定期的に受ける必要があります。

以下の方には低用量ピルを服用していただくことができません

  1. 40歳以上の初回投与(40歳以前から内服中の方の継続は可)、50歳以上または閉経後の方
  2. 血栓症の既往のある方、血栓症の家族歴のある方
  3. 肥満の方(BMI30以上または体重80Kg以上の方)
  4. 高血圧の方(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の方)
  5. 喫煙者(1日15本以上喫煙する方)
  6. 耐糖能異常や糖尿病がある方
  7. 乳がん・乳がんの既往の方、乳がんの家族歴または乳房に結節のある方
  8. 子宮頸がんの方(子宮頸部上皮内腫瘍の方も含む)、診断のつかない異常性器出血のある方
  9. 片頭痛のある方
  10. 肝機能障害、心疾患(心筋梗塞など)、腎疾患のある方
  11. 妊娠中、産後4週間以内、授乳開始後6か月未満の方
  12. 手術前4週間以内、術後2週間以内(30分以上の手術)、及び長期間安静状態の方
  13. てんかん、耳硬化症、妊娠ヘルペスの既往の方等

緊急避妊ピル(アフターピル)

こんな時はできるだけ早くご相談ください(オンライン診療でもご相談できます)

  • 避妊をしない性交渉を行ってしまった
  • 経口避妊薬を服用し忘れた
  • コンドームが破損・脱落していた など

性交渉後72時間以内の服用が大切です。24時間以内に服用すれば、より高い避妊効果が得られます。まずはクリニックにお電話ください。オンライン診療でもご相談できます。

緊急避妊薬(アフターピル)とは

緊急避妊とは、性交渉後72時間以内(3日以内)に緊急避妊薬(レボノルゲストレル錠1.5㎎)1錠を1回服用することで、望まない妊娠を予防する方法のことです。性交後24時間以内に服用することでより高い避妊効果が得られるので、早めの来院をおすすめいたします。また、内服後2、3時間以内に嘔吐してしまった場合には、再度内服が必要です。緊急避妊薬を内服後1週間程度で出血を認め、多くの場合予定の月経は早まります。もし予定の月経が1週間以上遅れている方は、妊娠の可能性があるため受診が必要です。また、ピルを内服した後に、再度性交渉をもつと妊娠する可能性がありますので、以後の避妊には十分注意をしてください。緊急避妊薬(アフターピル)服用後に低用量ピルを内服することもできます。従来の避妊法であるヤッペ法で、プラノバール1回2錠を12時間毎に2回、計4錠内服することもできますが、避妊効果は下がり、嘔気などの副作用がでることがあります。また、ご出産経験のある方で避妊をご希望の方は子宮内にミレーナという子宮内避妊システムを挿入することができます。(詳しくはミレーナの項を参照ください)。

アフターピルの副作用

従来のヤッペ法で用いられたプラノバールでは副作用として吐き気や腹痛を訴える方が一定数おられましたが、現在のレボノルゲストレルでは副作用はほとんどありません。ただ、レボノルゲストレルは価格が高価なため、ご希望の方にはプラノバールを処方することができます。

アフターピルの注意点

アフターピルは医師の指導の下、服用をお願いします。月経予定日を1週間過ぎても出血を認めない場合には妊娠の可能性がありますので、受診をしてください。
アフターピルは、あくまで緊急避妊法の一つであり、何度も繰り返し使用するのはお勧めしません。継続的に避妊をお考えの方は、ピルやミレーナ等、他の避妊方法もございますのでお気軽にご相談ください。

緊急避妊法

種類 避妊率 性交渉からの時間 方法 メリット・デメリット
プラノバール 60%程度 72時間以内 1回2錠を12時間毎2回 安価
避妊効果は他の方法より劣る、吐き気などの副作用がある
レボノルゲストレル 80%程度 72時間以内 1回1錠のみ 避妊効果はプラノバールより高く、副作用がすくない
高価
ミレーナ 99.8% 120時間以内 子宮内に装着5年間有効 避妊効果が高い、内服の手間がない、高齢、肥満でも装着できる。
挿入・抜去時の疼痛、不正性器出血
高価

月経移動

旅行や受験など大きな行事と生理が重ならないように、一時的にピルを内服することで生理のタイミングをずらすことができます。

月経を早める方法

月経開始後5日目ごろから7~14日間ピルを服用します。(当院では10日間の服用を行います)
服用終了後、約2、3日後から出血がはじまります。この方法のメリットは、事前に月経を起こしておくため、大事な行事の時にピルを服用する必要がありません。ただし、月経移動をしたい生理が始まる1、2か月前に余裕をもって早めに受診する必要があります。

月経を遅らせる方法

月経開始予定日の5~7日前から月経を止めたい日まで毎日連続してピルを服用します。ピルを飲み終わると2、3日後に出血が始まります。メリットとしては、ほぼ確実に月経を移動させることが可能ですが、初めてホルモン剤を服用する方は副作用(吐き気や腹痛など)が出た場合、大事な行事の時につらい症状を伴う可能性があります。また、排卵後に内服を開始するため、妊娠する可能性があります。

注意点

生理の周期が比較的安定していて、次回の生理の予定がわかる方にピルによる月経移動が適しています。生理周期の不定な方では、月経移動が難しいことがありますので、ご相談ください。また、ピルの代謝には個人差があり、思い通りに月経変更できない方もまれにいらっしゃいますので、時間に余裕を持ってご相談ください。

当院でのピル一覧

自費ピル

避妊用ピル(OC)
  • マーベロン
  • アンジュ
  • ファボワール
  • ラベルフィーユ

*その他院内にないピルもお取り寄せ可能な薬もあります。
ご相談ください。

緊急避妊ピル(アフターピル)
  • レボノルゲストレル
月経移動
  • プラノバール

保険適応ピル

1ヶ月毎内服するピル
  • *フリウェルLD、フリウェルULD
  • *ドロエチ
  • ヤーズ
  • ジェミーナ21
連続内服するピル
  • ヤーズフレックス(120日間連続内服)
  • ジェミーナ28、21(77日間連続内服)
  • *ジエノゲスト

ミレーナとは

ミレーナに向いているのはこんな方

子宮内避妊具の一種で、レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)とも呼ばれます。世界中でも多くの女性が使用しています。しばらく妊娠を希望しない、次の出産まで時間をあけたいといった経産婦さんには特にお勧めの方法です。避妊率は高く、装着後初年度の妊娠率は0.1%、装着後5年間で0.5%と報告されています。ミレーナは避妊目的だけでなく、過多月経や月経困難症と診断された方では治療として保険適応で使用することができます。

ミレーナに向いているのはこんな方

ミレーナに向いているのはこんな方

  • しばらく妊娠を希望しない経産婦の方
  • 月経量が多く日常生活に支障がある
  • 出血量が多く貧血になっている方
  • 月経痛でお悩みの方
  • お薬の飲み忘れが心配な方
  • ピルによる治療を希望しない方
  • 片頭痛や喫煙をしていてピルが飲めない方

ミレーナのメリット

子宮内にミレーナを装着することで、子宮内膜という受精卵が着床する部位を薄くし、子宮頸管粘液を変化させて精子の侵入を妨げることで避妊効果を発揮します。ピルの様に毎日内服する手間がなく、飲み忘れの心配もありません。ミレーナは子宮の中にのみホルモンが作用するので、40歳以上の方、肥満や高血圧の方、喫煙者の方や授乳中の方であっても安全にご使用いただけます。またある研究では、子宮内膜がんの発生リスクを減少させることが報告されています。

ミレーナのデメリット

ミレーナを装着したすぐ後では、だらだらと少量の出血が続いたり、出血が長引くことがあります。徐々に出血量は減少し、数か月で落ち着いてきます。徐々に月経が来なくなり、装着後1年で約20%の方は無月経となります。無月経でも体内のホルモン分泌は保たれており、排卵は起きますので、100%妊娠しない訳ではありません。つわりのような症状がある時には受診してください。ご出産経験のない方や、子宮筋腫のある方、先天的な子宮形態異常のある方などでは、ミレーナが挿入できないことがあります。装着時に子宮に穴が開く子宮穿孔や、子宮外に出て来てしまう脱落を生じることがあります。5年間そのまま装着でき、5年を超えない時期での抜去が推奨されていますが、ミレーナ抜去時に疼痛と出血を伴うことがあります。抜去が困難な場合には、子宮鏡検査や全身麻酔下での抜去が必要なことがあります。クラミジアなどの性感染症がある方では骨盤内炎症性疾患のリスクが高まるので装着は禁忌です。仮にミレーナ装着中に妊娠してしまった場合には、子宮外妊娠が起きやすいといわれています。強い腹痛や出血などがある場合には必ず受診が必要です。

ミレーナの装着方法

月経がはじまってから7日以内に装着します。性感染症の疑いがある方は、検査・治療後に装着します。ミレーナは外来の内診台の上で、超音波検査を併用して装着します。麻酔は使用しません。スムーズに装着できる方では数分程度で処置は終わります。装着後は、子宮穿孔や脱落の有無を確認するため、1か月後、3か月後、6か月後、1年後に定期受診する必要があります。以後は1年ごとに定期診察を行います。子宮筋腫等で装着が難しい方、出産経験がなく子宮口が閉じている方や痛みに弱い方などではミレーナが装着できないことがあります。妊娠をご希望される場合には抜去が必要になります。

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