出生前検査
お腹の赤ちゃんの検査には、妊婦健診で全員に受けていただく検査(通常の超音波検査)と、希望した人だけが受ける「出生前検査」があります。出生前検査はお腹の赤ちゃんの染色体数や構造の異常の有無を評価する検査です。
出生前検査の方法には、超音波装置やお母さんの血液を用いて行う非確定検査と、羊水・絨毛などの検体を用いて行う確定検査があります。また、当院ではお腹の赤ちゃんの構造上の異常を調べる胎児ドッグ(妊娠初期・中期・後期)も行っております。
当院では以下のような出生前検査をおこなっております。
出生前検査についてお考えの方はこちらの動画をご覧ください。
対象時期:妊娠11週0日〜13週6日
方法:超音波検査
別名、妊娠初期精密検査とか、FTS(First Trimester Screeningの略)とも呼ばれる検査です。FMFのライセンスを持った医師が行う検査です。ダウン症(21トリソミ-)、18トリソミー、13トリソミーがある可能性を評価する非確定検査です。初期胎児ドッグも同時に行います。
妊娠11~13週の時期で、赤ちゃんの大きさ(CRLといいます)が45-84mmの時に行います。これ以外の時期には検査を行うことができません。妊娠12,13週頃の検査をお勧めします。
検査の方法はお母さんのお腹に超音波を当てて行います。赤ちゃんの向きによりますが、大体20分前後で検査は終わり、当日結果のご説明を行います。クリニック受付から検査結果説明までで小一時間程度かかります。
対象時期:妊娠11週0日〜13週6日
方法:超音波検査・血液検査
超音波だけでなく、母体の血液検査を組み合わせた「コンバインド検査」を行うこともできます。超音波検査ではNT(Nuchal Translucency)を計測し、お母さんの血液検査でPAPP-A、free-βhCGという二つの血清マーカーを測定し、ダウン症、18トリソミー、13トリソミーである可能性を評価する非確定検査です。妊娠12,13週頃の検査をお勧めします。初期胎児ドッグも同時に行います。NTの計測、初期胎児ドッグの結果は当日でますが、母体血清マーカーの解析に1週間弱要するため、後日結果の説明をおこないます。
超音波マーカー検査やコンバインド検査の結果は基準値(カットオフ値)を上回った場合にスクリーニング陽性、下回った場合にスクリーニング陰性となります。これらの検査の陰性的中率は99%以上ありますが、陽性的中率はダウン症で10%程です。検査で陽性という結果になった場合には、もっと陽性的中率の高いNIPTをうけるか、羊水検査などの確定検査をうけるかといったことを選択することになります。
対象時期:妊娠9週~
方法:血液検査、超音波検査(心拍確認:無料)初期ドッグも同時に行えます(追加料金16,500円)
別名、非侵襲的出生前遺伝学的検査とか、新型出生前検査とも呼ばれている検査です。妊娠9~10週頃に、妊婦さんから10ml程の血液を採取して行います。実は、お母さんの血液の中には、お腹の中の赤ちゃんの「DNAのかけら」がながれています。これをcf-DNA(セルフリーディーエヌエーと読みます)といいます。妊婦さんの血液中にある胎児のcf-DNAの約10%は胎盤に由来します。胎盤は受精卵からできていますので、原則として赤ちゃんと同じDNAをもっています。これを次世代シークエンサーという機械を使って、胎児の染色体について分析を行います。当院は日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会の認定を受け、東京慈恵会医科大学附属病院を基幹施設とした連携施設としてNIPTを行います。
認定施設の一覧についてはこちら。
対象時期:妊娠12〜13週頃
方法:超音波検査
この時期に見つかることがある胎児の構造異常には、無脳症、臍帯ヘルニアや髄膜瘤などがあります。初期胎児ドッグでは、胎児の頭蓋内、心臓、腹壁、内臓、四肢などの構造異常の有無について評価していきます。評価項目は以下を参照ください。超音波マーカー検査やコンバインド検査を行う方は、初期胎児ドッグも同時に行います(料金に含まれています)。NIPTを行う方は、初期胎児ドッグを一緒に行うことで、ダウン症、18トリソミー、13トリソミーの可能性の評価に加え、胎児の形態異常の評価も行うことができます。NIPTを行う日とは別に初期胎児ドッグを受けることもできます。
頭部 | 頭蓋骨の有無、脳のかたち、鼻骨の有無 |
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頸部 | NT計測、のう胞の有無 |
心臓 | 心臓の形態、心拍数、弁逆流の有無 |
腹壁 | 胃、腎臓、膀胱、腹壁、横隔膜の異常の有無 |
骨 | 脊椎、四肢、その他の異常の有無 |
その他 | 羊水、臍帯の血流異常など |
初期胎児ドッグの料金
*当院で胎児ドッグと同時に妊婦健診を行った場合には5,300円分の超音波補助券がご利用できます。(初再診料も不要)
対象期間:中期は妊娠20週前後、後期は妊娠30週前後
胎児スクリーニング検査は、胎児ドッグと呼ばれることもあります。お腹の中の赤ちゃんが週数相当の発育をしているか、各臓器の構造上の異常はないかなどを決められた項目に沿って一つ一つ確認していきます。検査には15分から30分程度かかります。羊水や胎盤、へその緒やその中を流れる血液の速さ等も見ていきます。通常の妊婦健診ではここまで詳しい検査は行いません。超音波専門医が、しっかりと細やかな検査を行います。
このスクリーニング検査の一番の目的は、生まれてすぐに新生児治療が必要な病気がないかを前もって調べておくことで、赤ちゃんにとって最適な治療を提供できるように準備しておくことにあります。胎児診断の内容によっては、大学病院など産科、新生児科、麻酔科といったいろいろな診療科が連携して赤ちゃんを迎えられるような施設で出産する必要がある場合もあります。その時は、当院が適切な医療機関へ紹介いたします。
ただ、胎児スクリーニング検査をおこなっても、赤ちゃんの異常を100%みつけることはできません。スクリーニング検査で異常はないという結果であっても、生まれてから心臓に小さな穴(心室中隔欠損)が空いているのがわかった、といったこともあります。赤ちゃんの病気のうち、胎内で診断できるのは疾患にもよりますがおよそ半分程度です。
頭部 | 頭蓋骨のかたち、脳のかたち(大脳、小脳、脳室など) |
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顔 | 眼球、鼻、口唇(口蓋)裂の有無、顎の形成など |
頚部 | のう胞や腫瘤、むくみの有無 |
肺 | 胸郭、胸水や腫瘤の有無 |
心臓 | 左右心房心室、大血管の形態、血流の向き、弁逆流など |
腹部 | 胃、横隔膜、静脈管の血流、腎臓、腸管、腹部腫瘤、膀胱 |
骨 | 脊椎、四肢、形の異常、腫瘤の有無 |
その他 | 羊水量、胎盤・臍帯の位置、形態、血流 |
胎児スクリーニング検査の料金
【院内で妊婦健診を受けられている方】
*5300円分の超音波補助券がご利用できます。
【院外で妊婦健診を受けられている方】
*当院でスクリーニング検査と同時に妊婦健診を行った場合には5300円分の超音波補助券がご利用できます。(初再診料も不要)