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月経困難症

月経困難症|渋谷・神泉|目黒区の産婦人科|IRISレディースクリニック神泉

月経困難症とは

月経困難症とは

月経困難症は,月経の開始に伴って強い下腹部痛や腰痛などの症状が出現し、月経が終わる頃には症状が消失します。症状としては、下腹痛・腰痛、お腹のはり、吐き気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢や憂うつの順に多いとされ、身体的、精神的な症状を起こします。
また、月経の前に不快な身体症状や精神症状が起きる、月経前症候群(PMS)月経前不快気分症候群(PMDD)と呼ばれるものもありますが、これらは月経の開始に伴って症状が消失するという特徴があります。

月経困難症の原因

月経困難症はその原因によって2種類に分けられます。一つは「機能性月経困難症」と呼ばれるもので、原因となる疾患がないのに症状が現れてしまうものです。もう一つは「器質性月経困難症」と呼ばれ、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因で引き起こされるものです。

1.機能性月経困難症

原因となる疾患がないにも関わらず、症状がでてしまうタイプの月経困難症です。機能性月経困難症の痛みは、排卵がない月経周期では出現することが稀で、排卵周期の確立に伴って生じると考えられています。したがって、初経後数ヶ月から数年して現れ、10代の若い年齢の女性に多くみられます。月経困難症の大半がこのタイプです。月経の初日から2日目の出血が多いときに強い痛みを生じます。この痛みは子宮の収縮によって生じるもので、子宮口が狭いことや、プロスタグランジンと呼ばれる月経血を外に出す物質により強い子宮収縮が引き起こされることが原因と考えられています。このプロスタグランジンは月経時の吐き気や頭痛、下痢などを起こす原因にもなります。

2.器質性月経困難症

子宮内膜症子宮腺筋症子宮筋腫などの原因疾患によって引き起こされる月経困難症です。稀に子宮の先天的な奇形が原因のこともあります。子宮内膜症や子宮腺筋症は20~30代、子宮筋腫は30~40歳以上に多いとされ、器質性月経困難症も20~40代の年齢層に認められます。ただし、最近では10代の子宮内膜症が増えており、若い女性でも器質性月経困難症を認めることも少なくありません。

月経困難症の診断

月経困難症の診断は、自覚症状や日常生活への影響の程度などの問診によって行います。問診では初経後の月経の状態,最近の月経の状態,月経痛や月経に伴う症状,痛みの程度や部位,持続期間,鎮痛薬などの内服についてなど詳細に聞き取りを行います。さらに、内診や超音波検査、必要に応じてMRI検査などを行い原因となる疾患がないか調べていきます。

月経困難症の治療

1.鎮痛薬(非ステロイド系消炎鎮痛薬)

月経痛の原因物質はプロスタグランジンであるため、このプロスタグランジン合成酵素阻害薬である非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)が第一選択となります。ロキソプロフェン、イブプロフェンなどが用いられます。この鎮痛薬は機能性月経困難症の女性の80%に有効といわれています。痛みが強くなる前に服用すると効果的です。痛みが強くなった後では、プロスタグランジンがすでに作られているため効果が出るまでに時間がかかってしまいます。月経痛が強い方は月経痛開始直後または直前から内服を開始し、6-8時間毎に2-3日内服を継続するといいでしょう。鎮痛薬で胃の症状が出る方は胃薬と一緒に鎮痛薬を内服することもできます。

2.低用量ピル(LEP)

低用量ピルにはエストロゲンとプロゲスチンという2種類の女性ホルモンが含有されており、月経困難症の治療に有効な内服薬です。月経困難症の治療に用いられる低用量ピルをLEPと呼びますが、LEPにもいろいろな種類があり、また内服方法も連続投与法や周期投与法があるので、自分に合ったLEPの種類や内服方法を見つけることが大切です。

また、低用量ピルには血栓症の発生を少なからず上昇させるリスクがあり、40代以上の方、血栓症の既往のある方や、片頭痛がある方、喫煙者などでは低用量ピルを内服できない場合があります。しかし一方で、低用量ピルには避妊効果やニキビの改善、子宮内膜癌・卵巣癌・大腸癌の減少などの効果もあり、月経困難症の治療として有用な選択肢でもあります。また、エストロゲンを含有していない、ジエノゲストという黄体ホルモンのみの製剤もあり、思春期の患者様やLEPを内服できない方でも比較的安全に使用することができるお薬もあります。

3.漢方薬、その他

芍薬甘草湯には強い子宮収縮に対する抑制効果があり、速効性があるといわれる漢方薬です。当帰芍薬散以外では、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、当帰建中湯などがあります。芍薬甘草湯以外にも子宮収縮を抑制する鎮痙剤もあります。非ステロイド系鎮痛剤が内服できない方などに使われることもあります。

4.LNG-IUS(ミレーナ)

LEP などの経口薬の内服ができない方や血栓症リスクがある方などでは,LNG-IUS が有用です。具体的にはミレーナという装置で、月経困難症、過多月経に対して保険適用となっています。思春期の方、子宮口がまだ開いていない未産婦の方への挿入は難しいことが多いですが、出産経験のある方では比較的スムーズに挿入が可能で、月経量を減少させる効果もあるため過多月経がある方にも有用な方法です。5年間装着でき、避妊効果もあります。

5.手術

機能性月経困難症では手術療法はありません。
器質性月経困難症の方では、手術による治療を行うことがあります。子宮内膜症による卵巣チョコレートのう胞や子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因で月経困難症の症状がひどい場合には、手術により病変を取り除くという選択肢もあります。病気の程度や妊娠の希望などにより患者さんごとに手術方法などが異なります。

月経困難症かなと思ったら

月経困難症は身体的、精神的な幅広い症状を認めます。多くの女性が月経困難症であるにもかかわらず、そのことに気づいていなかったり、ただ痛みを我慢していたり、病院を受診していなかったりするのが現状です。器質性月経困難症では、基礎疾患が隠れていることもあり、子宮内膜症では放置することで不妊症のリスクが上昇したり、卵巣に子宮内膜症性のう胞があるのに気づかず放置されているといったこともあります。機能性月経困難症は、年齢とともに、また妊娠出産とともに軽快すると言われていることも多いのですが、女性のライフスタイルが変化し,妊娠出産の年齢が高くなっている現代では、思春期の女子に対して症状への対処や治療の選択肢、子宮内膜症のリスクなどをきちんと理解頂いて対応していくのが望ましいとされています。月経困難症かな?と思ったら、まずは一度婦人科をご受診ください。

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